昨今、燃料価格の高騰や円安の影響などで電気料金が上がっており、高圧電力においては東京電力等の旧一般電気事業者が新規受付を停止する事態となりました。
そんな中、電力供給におけるリスクを嫌い、多くの電力会社が導入した電力供給プランが市場連動型プランです。
電力会社のリスクが無いということから、電気を購入する側からすればデメリットばかりに感じてしまいますが、果たして本当にそうなのか検証してみました!

目次

市場連動プランってなに?

電力会社の電力調達方法は様々ありますが、ほとんどの電力会社が日本卸電力取引所(JEPX)という電力の市場からの購入を行っており、市場連動型とはその市場に連動した価格で電力を供給するプランのことです。
電力の価格は30分ごとに決められているため、1日の中でも使う時間によって価格が変わることがこのプランの特徴の一つです。

上のグラフは2023年6月15日の東京エリアの市場価格です。この日の午前2時は8.70円/kWhですが、午後6時は13.10円/kWhとなっており、時間によって1.5倍の差が出ることになります。

また、一般的な市場連動プランは基本料金・従量料金ともに託送料金(送配電会社に支払う送電線の使用料)がかかりますが、発電に必要な燃料の価格変動によって上下する燃料費調整額は請求されないという特徴もあります。

市場連動型って高いの?

市場連動型の特徴についてご紹介しましたが、ここからは市場連動型プランは他のメニューと比べて高いのか安いのかを考えていきたいと思います。

市場連動型というと、悪いイメージを持たれる方が多いと思います。それも当然で、2021年1月にリモートワーク率の増加や強烈な寒波による需要増、燃料価格の高騰やLNG(液化天然ガス)の不足などにより、市場価格が暴騰し一時252円/kWhという過去に類を見ないほどの高値が付きました。
この影響によって、市場連動型プランの契約をしていた方の電気料金が10倍ほどに膨れ上がったなどのニュースが多くあり、市場連動型プランは高すぎるというイメージを持っている方が多いというのが実情です。

しかし、この事件から2年以上が経ち、市場の状況の変化や、市場連動型プランの進化などデメリットばかりではなくなっているので料金の計算方法と共にご紹介します。

市場連動型プランの料金計算方法

一般的な市場連動型プランの料金は上記の図のような計算方法となり、ここに各電力会社の利益や手数料と、再生可能エネルギー発電促進賦課金が上乗せされた金額が実際の支払額となります。
(※損失率とは:発電所から使用場所まで送電線を通して電気を送る際に生じるロスの割合のこと)

2023年6月15日東京エリアの市場価格を用い、全ての時間で同じ使用量(0.2kWh)と仮定して電気料金を計算してみましょう。

各市場単価に0.2(kWh)をかけたものを合計し103.09円
東京エリア低圧の損失率が6.9%なので、1-6.9%で0.931 257.79円÷0.931で95.98円 
消費税10%なので1.1倍し105.58円
0.2kWh×48コマで9.6kWh 託送従量料金が7.48円なので9.6kWh×7.48円で71.8円
託送基本料金が10Aあたり152.24円で30Aの契約と仮定し152.24円×3で456.72円
1日当たりの料金を計算しているので456.72円÷30日で15.22円
105.58円+71.8円+15.22円=192.6円
一日の支払額が192.6円となり、単純計算で1か月288kWhの使用量で5,778円となります。
(再生可能エネルギー発電促進賦課金・激変緩和措置は省略しております。)

一方東京電力の契約ではどうなるのか。
東京電力では6月から従量電灯bのメニューが値上げとなり、現在の料金は以下の通りです。

先ほどの市場連動型プランと同じ使用状況の場合の月間電気料金を計算してみましょう。
使用電力量288kWhなので、120kWh×30円+168kWh×36.6円=9748.8円
基本料金が885.72円
燃料費調整額が-1.78円×288kWh=-512.64円
9748.8円+885.72円-512.64円=10,122円
(再生可能エネルギー発電促進賦課金・激変緩和措置は省略しております。)

なんと、東京電力の従量電灯bの方が4,344円も高いことになります!
先ほどの市場連動プラン計算には手数料等が入っていませんが、仮に1kWhあたり5円の手数料がかかったとしても、まだ3,000円程も差があります。
市場連動プランは高騰のリスクを持っていることに間違いはありませんが、2023年度の6月15日までの市場価格(東京平均10.35円、今回使用の6月15日は平均10.74円)であればかなり安く電気を使えることになります。

さらに、最近では市場連動プランのオプションとして、最大料金の設定ができるプランもあるようです。
通常の料金は多少上がってしまいますが、高騰した場合のリスクヘッジができることを考えると、そのようなオプションを付けることもありなのではと考えます。

まとめ:市場連動型の契約にするメリットとデメリットは?

以上のことから市場連動プランのメリット・デメリットをまとめました。

メリット
・市場価格が安い時には電力会社の固定メニューよりも安く供給を受けられる。
・燃料費の高騰の影響を直接は受けない(市場価格に反映される可能性有)。
・電気を使う時間をずらすなど、工夫をすることで電気を安く使うことができる。
・プランによっては高騰のリスクもヘッジすることができる。

デメリット
・市場価格高騰時には青天井で電気料金が上がる可能性がある。
・一般家庭において電力を使用する時間帯が、一番市場価格も高くなる傾向にあるため、価格が安い時間帯に恩恵を受けづらい。
・燃料費が安い時の燃料費調整額のマイナス調整の恩恵を受けることができない。

一長一短あるプランではありますが、市場価格が安いタイミングのみ市場連動の契約をし、高い時には固定の契約をするなど工夫次第ではとてもお得に電気を使うことができるため、契約を見直す際には候補の一つとして検討してみるのはいかがでしょうか?

これから電力やそれに付随する環境関連を中心に(たまには趣味も)記事を書いていこうと思いますので、記事への質問・感想・ご指摘、取り上げてほしい内容などございましたら、ぜひコメント欄へお願いします!